紙の月

2014年 日本

 監督 吉田大八

 出演 宮沢りえ

 

宮沢りえ演ずる、銀行に勤める主婦が、若い男にいれあげ、お金を横領するというお話。
でもなんだろう、宮沢りえが演ずると、必死さとかせっぱつまった感じではなく、
感じられるのは、はかなさのようなものか。
いつ、こわれても別にいいや、というような刹那的でもあり、妙なふてぶてしささえ感じてしまう。
たぶん、それは宮沢りえのそのままの存在感に思えるんだけど
その現実感というか想いの希薄さが、さわやかすぎて僕にはちょっと物足りない。
若い男との関係も、普通の不倫カップルくらいで、特段の後ろめたさやいびつさは感じられない。
中年女が、若い男をつなぎとめるために必死になっているという雰囲気でもないし
貢ぐことにのめりこんでいるという風でもない。
なにより、そこにお金が絡んでいるにおいがあまりしない。
このどろどろずぶずぶではない関係の在り方っていうのが、監督の狙いなのか、それとも宮沢りえの解釈に監督がのっただけなのか分からないが、正直もっと狂気が観たかった。
「桐島〜」がよかっただけに、ちょっと期待したけど、いまひとつでした。
あと、小林聡美はちょっとオーバーアクションかな。
大島優子は唯一良かったと思う。