ロング・グッドバイ

1974年 アメリカ

 監督:ロバート・アルトマン

 出演:エリオット・グールド

 

かなり昔、一度見ているはずだし、原作もかなり昔に読んでいるはずなのだが、
話しはほとんどおぼえてなく、今回ほぼ初見状態。
今回、印象に残ったのは、冒頭の猫と、マーロウのペントハウスの隣に暮らしている女たち、そしてマーロウをおどすヤクザ。

猫は、かなりの尺を使っているが、猫好きにはあるある、というかよくある話。
アメショーとかじゃなくて普通の茶虎ってところがいいのかもしれないが
猫好き以外には、どうでもいいエピソードなんだろうな。
「ケンガイ」というマンガに、ロンググッドバイに出てくる猫は今どうしているんだろう、みたいなどうでもいいくだりがあるのだが、ああ、これがその猫かと。監督は猫好きなんだろうな、きっと。

女たちは、当時のヒッピームーブメントの影響を受けているのか
トップレスでヨガ?かな、で集団生活というその不思議な生態が、とっても妙。
ジャックニコルソン主演の「さらば冬のかもめ」に出てくる妙な日本の宗教とかもそうだけど、全くストーリー上の必然とかはなく、ちょっと変わった匂いを持ち込むだけだったものが、今見るとすごく変というのは、それはそれで、映画としての味なのか?どうなんだろう。

で、マロウをおどすヤクザですが、全く意味不明かつ唐突に自分の彼女の顔を破壊して病院送りにしたり、マロウをおどすために、手下も自分も裸になったりと、もうめちゃくちゃ。「パルプフィクション」とかはまだ、理屈の通じるヤクザたちだったけど、こういう意味不明で不条理な怖さと、それがかもしだす何ともいえないコミカルさとの、どっちに転ぶかわからない不安定さが絶妙。
この辺ののりは、デビッド・リンチの「ブルーベルベット」に出てくるデニス・ホッパーとか北野映画に通じるものがあるかも。

話は、実に王道のミステリー。自殺したはずの親友が実は生きていて、真犯人だったという。ラスト、その友人を、マーロウが躊躇なく撃ち殺すのが、ちょっとビックリ。確かに、法律上は既に死んだ、いないはずの人間ではあるけれど。
そんなに、あっけなく撃つのかいって、思わず突っ込みそうになる。
いやでも、アルトマンだし、名作だし、これくらい、あっさりしていた方が、
余韻がのこり、映画世界が楽しめるかもしれないな、と。
全てが分かりやすくて、きれいに収まっているだけがいい訳じゃあ、ないし。