ドント・ブリーズ

2016年 アメリカ
 
製作:サム・ライミ
出演:スティーブンラング、ジェーン・レビ
 
 
デトロイトで暮らすうらぶれた若い男女3人が主人公。
彼らは、強盗を働き金を稼いでいる。
 
その3人が、次のターゲットとして選んだ家は、盲目の老人がいるだけという
赤子の手をひねるよりも簡単なミッションだったはずなのだが
それがとんでもない誤算。
このじじいが強いのなんの。戸締まりの厳重な家は、
あっというまに逃げることの出来ない密室となり
盲目のじじいに有利な暗闇状況とどう猛な番犬の存在もあり
簡単なミッションは、絶望的に困難なミッションになってしまう。
さあ、彼らはお金を盗み出し、逃げることができるのかというお話。
 
一般的なホラー映画だと、ちゃらちゃらした若者がキャンプに遊びに来て
そこで、殺人鬼に一人一人殺されていく、というのがよくある定番。
ちゃらちゃらしたという時点で、かなり反感を買っているので
見る側としても、半分自業自得だろう的な思いで見る訳だが、
本作は、強盗というさらに自業自得な状況。
 
しかし、彼らにも貧困問題やら家庭問題やらといろいろあり
主人公の女の子のロッキーは、幼い妹を底辺な家庭から救い出したいと考えていて
一分の理がないわけでもない。
 
なので、見る側の心情としては、五分五分というところなのだが、
このじじいが盲目のくせに聴覚、嗅覚をフルに使い、えげつなく強い。
逃げだそうと必死な若者の先手先手をとり、攻撃してくるさまは痛快なくらいだ。
しかし、後半じじいの秘密が明らかになると状況は一変し、
なんの落ち度もなかった、ただ強いだけのじじいが、得体の知れない悪役へと変貌する。
 
ここからは、攻守がめまぐるしく入れ替わるサドンデスなバトルへと突入する。
殺されたかと思えばさにあらず、やっつけたかと思えばさにあらず
まさにジェットコースターのごとく、ラストへと息もつかせぬ怒濤の展開、
あっという間の88分。
 
ホラーという触れ込みだが、どちらかといえばパニックサスペンス。
怖いというほど怖くはないが、プロットが秀逸でとてもよくできた映画だった。
映画館を出たところで、高校生くらいの男の子たちが
「じじい、怖ええ!」と盛り上がっていたのが微笑ましかったです。