パーマネント野ばら
2010年 日本
監督:吉田大八
原作:西原理恵子
いやあ、油断してました。
まさか、あんなラストが待っていようとは。
何の予備知識もなしに見始め
正直、途中まで、なんかどうでもいいような話だなあと適当に流していた。
田舎で幸せを求めてあがく女性をあたたかく見守った
少しファンキーな脱力系のコメディかと思ってました。
話は、実家の美容院「パーマネント野ばら」に子連れで出戻ってきた
なおこ(菅野美穂)とその友達や町の人たちを描く群像劇。
なおこは、教師をしているかしまと付きあっているが、
かしまは、のらりくらりとして、何を考えているのか、よく分からない。
友達のともちゃん(池脇千鶴)は、男運が悪く、
やっと見つけた暴力をふるわない旦那もギャンブルにはまり、失踪したあげくのたれ死ぬ。
みっちゃん(小池栄子)は、フィリピンパブのママさん、
だが旦那は店の女の子と浮気を繰り返している。
そして、ろくな男がいないと愚痴をこぼす、町のおばちゃんたち。
町に1軒の美容院野ばらは、そんな女たちのたまり場だ。
ここには、幸せな人間なんかひとりもいない。
ただみんながそんな境遇に負けまいと、たくましく、笑いながら暮らしている。
そこでのおもしろおかしいエピソードを積み重ねながら
女性が誰でも持っている切ない恋心と、
しあわせになろうともがく姿を描いていく。
そして、ラストの大どんでん返し。
いままで、明るく輝いていた裏側の闇が、どろっと溢れ出てくる。
え、そういう話だったんだ、と。
でも、その溢れ出した闇も世界を覆う訳ではない。
誰だって闇のひとつやふたつは抱えているんだし、
世界は、あいかわらず、おばちゃんたちのたくましさに支えられている。
ついでに原作のマンガも読んでみたが
マンガの方が、もっとファンキーでディープな世界でした。