イット・フォローズ

2014年 アメリ
監督:デヴィッド・ロバート・ミッチェル
出演:マイカ・モンロー

※ネタバレ有り!


せつない青春ホラーです。

女子高生のジェイは何かに取り憑かれてしまうのだが、
その正体は不明だ。
ただ、歩いてジェイに近づいてくる、
決して素早いわけではないがそれに捕まると殺されるらしい。
歩いてくるだけだから、逃げるのは容易なのだが、
しかし、いつそれがくるのか分からない、という恐怖。
(ゾンビもどんどんスピードアップしていく昨今にあって、
このゆっくり近づく恐怖というのは、なかなか新鮮だ。)

なぜ、そんなものに取り憑かれたかというと
ボーイフレンドのヒューとセックスしたからで、
ヒューは、自分からジェイにそれを移し替える為に
セックスをした、ということらしい。
そして、ヒューは「何か」がどういうものかをジェイに伝え、
そのまま行方をくらます。

この、「何か」のルールは、
1:必ず歩いてくる
  だから、車で逃げると時間を稼ぐことができる
2:取り憑かれた人間にしか見えない
3:しかし、物理的存在で、見えないが触ることはできるし、
  ドアを開けないと入ることはできない。
4:銃でダーメジを与えることはできるが、すぐ復活する
5:いろいろな人に姿を変える
そして、
6:セックスをすると、相手に移し替えることができる
7:移し替えても、その人間が死ぬとまた自分に戻ってくる

ということのようだ。

しかし肝は、6の「セックスをすると、
相手に移し替えることができる」というところにある。
この項目があるがゆえに、この映画はせつない青春映画となった。

ジェイには、幼なじみで、ずっとジェイのことが好きだったポールがいる。
ポールは、ジェイを救いたいと思う。
それはジェイとセックスするということだ。
ある意味、大手をふってセックスする理由が訪れたわけだが、
しかし、そこには自分の命が危うくなるというリスクもある。
そして、たとえ、自分の命よりもジェイを救いたいと思っていたとしても
こんなときに、それを言い出すのは、それはそれで勇気がいる。

そうこうするうち、何かは現れ続け、
友人たちはジェイを救うために、別荘に非難したり、
退治しようと試みるのだが結局はうまくいかない。
何かは、死なないのだ。

にっちもさっちもいかなくなったジェイは、ポールとセックスする。
しかし、それは、自分が助かるために
ポールに何かを移し替える、というだけではない。
おそらくポールの純粋な思いが伝わったたから。

ラストで二人は、手をつなぎ一緒に歩いていく。
その後ろを何かがついてくるのが、かすかに見える。
それが、この後の悲劇を象徴しているのか
それとも、その何かと闘い、二人で生きていくという
覚悟を決めたということなのかは分からない。

昔、「君のためなら死ねる」というセリフで有名な
「愛と誠」という漫画があったが、この映画は、その思いが届いた瞬間で終わる。
その先どうなるかは、二人にとってどうでもいいことだろう。

ホラー映画としては、バッドエンドなのかハッピーエンドなのかは不明。
けど、どちらかというとバッドエンドの匂いが強い。
しかし、青春ラブストーリーとしては、ハッピーエンドだ。