2018年1月 映画日記

1月に観た映画の雑感をまとめてみました。

ネタバレ有りです。

 

「何者」
2016年 日本
原作は、あまり好きな小説ではなく、
映画も好きになれない感じだったが、途中からは結構楽しめた。
おそらくこんな大学生は存在しない。
大学生は、もっといいかげんで、こんなに無防備ではない。
しかし、これはまあ、作者の作り出したフィクションであるし、
あくまで作者のリアルでしかないのだから、それはそれだ。
若者特有な頑張りすぎることによる痛々しさに対する、過剰な拒否反応、
それは何も生まない、という普遍的な真理。
ラストのどんでん返しをどう表現するのかと思ったが、
映画にすると結構普通な表現になった。
演劇的な要素を持ち込むことによって
ちょっとがんばったかなと言う感じ。
 
 
「エレニの帰郷」
2008年 ギリシャ、ドイツ、ロシア
エレニと二人の男をめぐる三角関係、
そしてエレニの息子と娘の物語。
第二次大戦が終わり、ソビエト社会主義体制が崩壊する中で翻弄される3人。
おおまかなあらすじは分かるのだが、細かな背景説明はなく
象徴的な場面の連なりによって物語は進んでいく。
スタジオに落書きされた天使の3番目の翼、
屋上からまかれる詩がかかれた無数のビラ、等など。
その一つ一つのシーンから、生きるということの悲しみがあふれてくる。
無音のエンドロールも、余韻がすばらしい。
 
 
1985年 日本
監督、伊丹十三の奥さんに対する愛情とか
映画に対する愛情があふれた良い映画でした。
宮本信子のかわいらしい魅力が満載です。
 
 
「400デイズ」
2015年 アメリカ
地下での宇宙飛行士訓練中に地上では天変地異が起こり
人類滅亡か、という映画。途中、人肉食を連想させたり
結構えぐい話になるのだが、ラストは、あれ、それも含めて訓練だったの、いやいや。というところで終わる。なんというか、物足りないというか、ずるいというか。
 
 
傷物語
2016年 日本
まあ、いつもの化物語シリーズではあるのだが、
劇場用のせいか、やや間延びした感じも。
3部作ではなく、2部作でよかったのではと思う。
 
 
1961年 アメリカ
オードリーは魅力的だし,ムーンリバーもよい曲だと思うが、
話は、人生で何が一番大切かに最後で気づく、という
まあよくあるハッピーエンド物語。
にしても、昔の映画って設定がきわどいというか、
本作も主人公は娼婦らしいし、彼氏もマダムのお相手をしてお金をもらっている。
アパートの鍵貸します」とか「月曜日のユカ」とかも
よく考えると、なかなかではないか。
 
 
「スターシップトルーパーズ」
1997年 アメリカ
イケメンと美女ばかりの青春ストーリーという
フレームで描かれる昆虫型宇宙人とのグロテスクな戦い。
このいびつさにつきるんでしょうね。
昆虫宇宙人のCGはすごいが、それ以外は徹底してB級。
戦争に対するシニカルな表現も結構あるが、
そこまで、戦争批判というわけでもなく、
とにかく徹底的に悪ノリしてみました、という映画。
その徹底さ加減がなかなか痛快。
 
 
「キャビン」 
2012年 アメリカ
脳天気な大学生男女5人、山奥のへんぴな別荘、
湖でのバカンスという、ホラーの定番ともいうべき
シチュエーションを用意しながら、
そこに、観られる側(大学生5人=ホラー世界)と
監視する側(謎の組織=現実世界)という
メタ的な二重構造を持ってきた異色作。
監視する側は、ホラー映画を鑑賞する我々観客のメタファーであり、
最後は、観られる側(ホラー世界)が
監視する側(つまり我々観客)に復讐するという痛快な作品。
随所にホラー映画へのパロディやオマージュがあふれ
ホラーへの愛を感じさせる。
 
 
『オール・アバウト・マイ・マザー』 
1999年 スペイン
少し変わったテンションの映画。
息子が事故で死に、別れた夫を探しに行く母親の話しなのだが、
かつて暮らした街で出会う、ゲイや、舞台女優、そのアシスタントのジャンキー、
慈善事業を行うシスターなど、癖のある女ばかりがでてくる。
そんなマイノリティを見つめる視線は温かくていいのだけれど、
それで、結局何?みたいな気持ちになる。
 
 
「昼下がりの決斗」 
1962年 アメリカ
ペキンパーの初期作品。
暴力は特に描かれず、むしろ、ヒューマンな作品という印象。
登場人物のやりとりとか、人間愛にあふれたジブリアニメのよう。
ラストで、主人公の二人が、銃弾の雨のなか、
悪人に立ち向かって颯爽と歩いて行く姿がちょっと格好よかった。
 
 
トリコロール/白の愛」
1994年 フランス・ポーランド・スイス
トリコロール三部作の二作目で、テーマは「平等」らしい。
しかし、内容は平等というよりも「目には目を」だ。
妻から離縁され追い出された男が、妻を罠にはめ、
自分と同じ苦しみを味あわせる。
その背景には愛があるから、なんとなく許せるが
でも、それってどうなのって感じです。
 
 
2015年 アメリカ、カナダ
美しい映像に彩られた王道のゴシックホラー。
ただ、デルトロさんの映画は、綺麗すぎて
筆者的には、もっと闇を掘り下げて欲しかった感も。
「パンズラビリンス」は、あんなに、よかったのに。
浴槽の亡霊とか、吹雪の中を助けに来るとか
随所に「シャイニング」へのオマージュ?らしきものもあった気がする。
ベースとなっているのは「青ひげ」なんでしょうけど、
ラストの展開とか、日本昔話の山姥を思い出しました。「三枚のお札」かな?
山姥が鉈だか、刀だか持って追いかけてくるやつ。